AIニュース

OpenAIとJony Iveの新デバイス最新情報

OpenAIが元Appleのデザイナー、Jony Iveと組んで新しいAIデバイスを作っているという話、ちょこちょこニュースにはなるものの「結局いつ出て、どんな形なのか」がずっとふわっとしたままなんですよね。Built In、9to5Mac、Introlなど複数の海外メディアがここ最近まとまった情報を出しているので、現時点でわかっていることを一度整理してみます。

今わかっていること

基本コンセプトとして各メディアが揃って伝えているのは、画面を持たない・ポケットサイズ・声が主な操作手段、というところです。カメラとマイクで周囲の状況を把握し、文脈を理解して動く「contextually aware」なデバイスだとされています。Built Inによれば、Bloombergは家庭内で使うスクリーンレスのスピーカーになると報じていて、スマート家電の操作やメディア再生、質問への応答、メッセージへの返信といった機能をChatGPTの能力を使ってこなす想定だそうです。

形状についてはメディアによって温度差があります。Built Inでは「iPod shuffleのように紐で首から下げるのでは」という憶測や、イヤホン型・ペン型という噂も紹介されていて、まだ確定情報ではないという書き方でした。一方Introlの記事はもう少し踏み込んでいて、イヤホン型の開発コード「Sweetpea」と、ペン型の「Gumdrop」という2つのコードネームを挙げています。Sweetpeaはカプセル型で耳の後ろにかけるタイプ、卵型のケースに2つのピル状パーツが入っていてAirPodsのライバルに近い、iPod shuffle並みの小ささでマイクとカメラを備える、という説明でした。Gumdropについては詳細はまだ乏しいとのことです。

Built InはThe Informationの報道として、OpenAIには200人を超えるエンジニアがスピーカー・スマートグラス・ランプなど複数の製品を並行して開発していると伝えています。スピーカーには物体や部屋の状況を認識できるカメラが搭載され、Face IDのような顔認証で決済ができる可能性もあるそうです。ただしこのスピーカーの発売は2027年以降、スマートグラスはさらにその後の2028年になるだろうとThe Informationは見ているようです。

ここが少しややこしいところで、Introlの年表ではSweetpeaの発売目標として2026年9月という時期が挙げられています。Built Inが指す「スピーカー」とIntrolが指す「Sweetpea(イヤホン型)」は別の製品を指している可能性が高く、単純に「OpenAIのデバイスは何年に出る」と一言でまとめるのは難しい状況です。9to5MacがダボスでのAxiosの取材として伝えたところでは、OpenAIの政策責任者Chris Lehaneが「2026年後半に第一弾を発表する見込み」としつつも、その年のうちに実際に発売するとは明言していません。

製造面では、IntrolによるとOpenAIは当初の委託先だった中国のLuxshareから、Foxconnへと製造パートナーを切り替えたとされています。生産拠点は米国かベトナムを想定していて、初年度の目標生産台数は4000万〜5000万台という数字も出ています。これとは別に、Built Inはアナリストのミンチー・クオ氏の予測として、OpenAIが検討しているとされる「AIエージェントフォン」的なスマートフォンについても触れていて、2027年前半にも量産が始まり、2027〜2028年で合計3000万台規模の出荷になりうるとX(旧Twitter)で述べたことを紹介しています。こちらはSweetpeaやGumdropとはまた別の噂として扱われている点は注意しておきたいところです。

これまでの経緯

Introlがまとめた年表によると、話の起点は2025年5月、OpenAIがJony Iveのスタートアップ「io」を64億ドルの全株式交換で買収したことです。この買収でio共同創業者のScott Cannon、Evans Hankey、Tang Tanを含む55人がOpenAIに合流し、Ive自身はOpenAIとioの両方でデザインの責任者を務める一方、彼の独立系デザイン会社LoveFromは別組織として存続しているとのことです。

同年11月には、Altman氏が「ついに最初のプロトタイプができた」「出来の良さに驚いている」とコメントしたとIntrolは伝えています。年が明けて2026年1月にはダボスでのAxiosの取材でLehane氏が2026年後半の発表を示唆し、同じ時期にFoxconnが製造パートナーとして確認されたともIntrolは書いています。9to5Macは同じ1月のタイミングで、Apple出身のデザイナーJanum Trivedi氏がOpenAI×LoveFromのデザインチームに加わったことも報じていました。Trivedi氏はApple在籍時にiPadのSplit ViewやMultitasking Drag & Drop、iPad Pointer Gesturesなどを手がけた人物だそうです。

Built InはBloombergの報道として、最近になってスクリーンレスのスピーカー案が具体化してきたことと、開発が技術面・法務面でいくつも壁にぶつかっているという報道も紹介しています。Introlの年表ではこの先2026年9月にSweetpeaの発売目標、2027年前半に別枠の「AIエージェントフォン」量産、2027年以降にスピーカー(The Information経由)、2028年にスマートグラス、そして2028年第4四半期までに合計5製品を揃えるという、かなり長期の展開が描かれています。

市場環境についても触れておくと、Introlはこの手のAIハードウェアがすでに一度手痛い失敗を経験している市場だと指摘しています。Humaneの「AI Pin」は2億3000万ドルを調達しながら2024年4月に発売、発熱問題などが原因で2025年2月に販売終了し、最終的にHPへ1億1600万ドルで売却されたとのことです。一方でMeta・Ray-Banのスマートグラスはこの市場で75〜80%のシェアを握っているとIntrolは書いています。OpenAIのデバイスはこうした前例のある市場に、Altman氏いわく「タイムズスクエアを歩いているような落ち着かなさ」ではなく「湖畔の山小屋で過ごすような静けさ」を目指して参入する、という位置付けのようです。

ケイの一言

正直なところ、Sweetpeaが2026年9月に出るのか、The Informationの言う「スピーカーは2027年以降」の話とどう繋がるのか、記事を読んでいてもまだ整理しきれていません。複数の海外メディアがそれぞれ違う情報源(Bloomberg、The Information、Axios、Introl独自の年表)を元に書いているせいで、噂の解像度がバラバラなんですよね。Humane AI Pinの失敗をIntrolがわざわざ引き合いに出しているあたり、書き手側も「またこのパターンか」という警戒を持って見ているのが伝わってきます。個人的にはFoxconnへの製造委託先変更とか、Jony Iveのチームに元Apple社員が加わったという話のほうが、コンセプトの説明よりよっぽど「本当に作る気だな」という手触りがありました。

ケイ(このブログを書いている人)
仕事で海外のSaaSやAIツールを日常的に触っている30代の会社員。 日本語の情報がまだ無いツールを、Hacker NewsやRedditの生の評判ごと紹介しています。 公式の宣伝文句より海外ユーザーの本音(不満も含めて)重視。 料金や機能の数値は一次ソースにあるものだけを書くようにしています。