会社の仕事でいろんな海外SaaSを触っていると、たまに「これ日本語の紹介記事がまだ全然ないな」というツールに出くわすんですけど、Sunoもその一つでした。テキストで「こういう曲」と説明するだけでボーカルつきの完成した曲を作ってくれるAI音楽生成ツールで、Hacker Newsでも何度もスレッドが立つくらい話題になっています。今回は公式サイトの情報と、海外エンジニアたちの生々しい評判を突き合わせて紹介します。
Sunoとは?何ができるのか
Sunoは、ジャンルやムード、テーマ、あるいは自分で書いた歌詞をテキストで入力するだけで、ボーカル・楽器・プロダクションまで含んだ完成した曲を1分足らずで作ってくれるAI音楽生成ツールです。公式サイトのFAQでは「多くのAI音楽生成ツールは短いインストゥルメンタルのループしか作れないが、Sunoはあらゆるジャンルで完全なオリジナル曲を作れる」と説明されていて、Rolling Stone、Billboard、Wired、Varietyといったメディアにも取り上げられているそうです。
作った曲を細かく調整するための「Voices」「Inspo」、除外ワード指定、ボーカルの性別、weirdnessやstyleのスライダーといった作り込み系の機能もあります。有料プランで作った曲には商用利用権がついていて、動画のBGMに使うのもアルバムとして公開するのも自由とのこと。さらに「Suno Studio」という、従来のDAW的な機能とAI生成を組み合わせたブラウザ上のワークスペースも用意されていて、最大12個のタイムアライン済みWAVステムを書き出してAbletonやLogicに持っていける、というプロ向けの導線まで用意されています。iOS版は4.9(36万件超のレビュー)、Android版は4.8(65万件超のレビュー)で、それぞれのストアでTop 10 music appに入っているそうです。
料金プラン
料金は公式Pricingページの記載をそのまま整理します。表示は月額(年払いだと20%オフ)です。
| プラン | 月額 | モデル | クレジット | 商用利用 | アップロード |
|---|---|---|---|---|---|
| Free | $0 | v4.5-all | 50クレジット/日で更新 | 不可 | 最大8分 |
| Pro | $8 | v5.5まで利用可 | 2,500クレジット/月更新 | 可(新規作成分) | 最大30分 |
| Premier | $24 | v5.5まで利用可・Suno Studio対応 | 10,000クレジット/月更新 | 可(新規作成分) | 最大30分 |
Freeプランはトップページによると「1日10曲まで、クレジットカード登録なし」で使えるとのこと。Pricingページのクレジット表記(50クレジット/日)と合わせると、1曲あたりざっくり5クレジット換算になっているようです。Proは年払いだと24ドル分お得、Premierは72ドル分お得という表記もありました。PremierだけがSuno Studioとステム分離3種類(Auto/Split from mix/Advanced Split)に対応していて、Proはそのうち2種類までです。地味なところですが、Freeプランには「ステム分離なし」「追加クレジット購入不可」「共有の生成キュー」という制限がはっきり書かれていて、無料でどこまで試せるかの線引きは明確な方だと思います。
海外での評判
Hacker Newsには「Suno v4.5」というスレッド(390pt、280コメント)と、もう少し古い「Suno AI」というスレッド(336pt、160コメント)があって、かなりの熱量でコメントがついていました。
UIについて cdrini というユーザーは「ランダムボタンを押してニッチなジャンルを発見するのがすごく楽しい。klezmerなんて聞いたことなかったけど良い音楽だった。ブラインドテストでAIだと見抜けるか自信がない」と、かなり肯定的な感想を書いていました。
一方で品質への疑問も結構あります。
whywhywhywhy というユーザーは「Cajun synthpop chant」を試したら、チャントもシンセもなくてフランス語なまりの女性ボーカルが入ったカントリーみたいな曲になった、とジャンルの再現性に疑問を投げています。同じように visarga は「スタイルタグに全然従ってくれない気がする。何回もサイコロを振らないとまともなものが出ない」とコメントしていました。
言語まわりの指摘も目立ちました。smusamashah はウルドゥー語で試したところ「音楽のクオリティ自体は良いのに、簡単な単語の発音がaとeで微妙に間違っている」と書いていて、なぜそうなるのか本人も不思議がっていました。歌詞そのものについても S0y が「他の生成部分はあんなに良いのに、歌詞だけ単純でつまらないものになってしまう」と指摘していて、TheAceOfHearts も「歌詞生成が弱点で、しかも曲を生成せずに歌詞だけ生成することができない」と、別のLLMで歌詞を作ってからSunoに渡す運用を勧めていました。
あと、これは音質やUIとは別の話ですが、progbits というユーザーが「SonyなどとAI学習データの無許諾利用をめぐって訴訟中のはずなのに、新製品を出し続けている。Uberの『違法な段階で稼いで、罰金を払って続ける』というやり方を狙っているのでは」という、権利面への懸念を書いていたのも印象に残りました。ここはHN上の一意見であって事実確認された話ではないので、そういう見方をしている人がいる、くらいの受け取り方がいいと思います。まぁ生成AI系のサービスには付いて回る話ではありますけど。
日本語対応と日本からの使い勝手
公式サイトを見た限り、ページ最下部の言語表記は「English」のみで、日本語UIについての記載は見当たりませんでした。ソースの中に日本語対応をうたっている箇所はなかったので、現時点で公式に日本語をサポートしているとは言い切れません。ただしHNのコメントを見る限り、ウルドゥー語を含む英語以外の言語での生成を試している人がいるので、多言語での歌詞生成自体はできる作りのようです。日本語の歌詞入力がどこまで綺麗に発音されるかはソースからは分からないので、ここは正直に「未確認」としておきます。
登録して始めるまで
公式FAQによると、手順自体はシンプルです。suno.comにアクセスして、作りたい曲のジャンル・ムード・テーマ、あるいは自分の歌詞を説明として入力し、Createを押す。それだけでボーカル・楽器・プロダクションまで含んだ曲が1分足らずで生成され、そこから再生成・拡張・微調整ができる、とのことでした。Freeプランはクレジットカード登録なしで始められて、1日10曲まで作れます。トップページのボタンは「Join Suno for free」という表記だったので、まずは無料枠で試してからProやPremierへ、という流れが想定されているようです。
まとめ:向いてる人・向いてない人
ソースを見た感じだと、思いつきでBGMを量産したい人や、ジャンルをいろいろ試して遊びたい人には向いていると思います。cdriniのコメントみたいに「聴いたことないジャンルに触れて楽しい」という体験は、無料の10曲でも十分に味わえそうです。逆に、ちゃんとした歌詞やストーリー性のある曲を作りたい人にはちょっと厳しいかもしれません。S0yやTheAceOfHeartsが指摘していた歌詞の弱さは複数人が同じことを言っているので、単発の不満ではなさそうです。あと権利関係の懸念を気にする人は、progbitsのコメントにあった訴訟の話も頭の片隅に置いておいた方がいいと思います。個人的には、Proの月8ドルで2,500クレジットというのはコンテンツ用のBGMを量産する用途なら悪くない価格に見えますけど、その辺は用途次第としか言えません。