画像も動画も3Dも、気づいたら海外発のツールで一つの契約にまとまっているんですよね。Kreaはそのタイプの代表格で、Flux、Runway、Ideogram、Veo、Gemini といった有名どころのモデルを一つのUIから使えるようにした「AIクリエイティブスイート」です。自社開発の画像モデル「Krea 2」もあって、Hacker Newsでは重みの公開と技術レポートが結構な反響を呼んでいました。日本語の紹介記事がまだ少ないツールなので、公式サイトの情報とHNでのエンジニアたちの反応を突き合わせて整理してみます。
Kreaとは?何ができるのか
Kreaの中身は大きく3つに分かれています。「Generate」は画像・動画・3Dの生成で、テキストからの画像生成に加えてリアルタイム画像生成、テキストから動画、モーション転写、テキストから3Dオブジェクト、画像から3Dオブジェクトまで揃っています。「Edit」は画像・動画の強化系で、アップスケーリング、背景除去、AI画像エディタ、フレーム補間、動画のスタイル転送、動画アップスケーリングが並びます。「Customize」は自分の顔や製品写真を数枚読み込ませてモデルを学習させるLoRAファインチューニングと、それを他人と共有できるLoRA Sharingです。
公式サイトによれば、対応しているモデルは64以上。Veo 3.1、Ideogram、Runway、Luma、Flux、Gemini、そして自社モデルのKrea 2まで、1つのサブスクリプションでまとめて触れるのが売りだと書かれています。画像アップスケーリングは最大22Kまで対応していて、Topaz Photo・Topaz Gigapixelを含む7種類のアップスケーラーが使えるとのこと。リアルタイム生成については「50ms以下でプリミティブをフォトリアルな画像に変換できる」と説明されていて、この速さは業界内でもかなり尖った特徴のようです。
ちなみにトップページには「30,000,000人以上、191カ国で使われている」と書いてある一方、料金ページでは「40M subscribers(4000万人)」となっていて、ちょっと数字が揃っていません。まあこのあたりはマーケティングページによくある話ではあります。
Hacker Newsで話題になっていたのは自社モデル「Krea 2」の重み公開についてで、蒸留済みで高速な「Krea 2 Turbo」と、ファインチューニング前提の「Krea 2 RAW」の2種類がリリースされたという投稿でした。開発チームによると、Artificial Analysisのtext-to-imageベンチマークでNano Bananaと同水準のスコアだったそうです。
料金プラン
料金は月払いと年払いがあり、年払いだと40%オフになると書かれています(具体的な年額の表記はソースになかったので割愛します)。以下は月払いの場合です。
| プラン | 月額 | compute units | 主な内容 |
|---|---|---|---|
| Free | $0 | 100 units/日 | Krea 2利用可、クレカ登録不要。画像・動画・3D・LoRA学習・アップスケールは制限つき |
| Basic | $9/月 | 5,000 units/月 | 商用ライセンス、LoRA学習(最大50枚)、22Kまでのアップスケール、一部動画モデル |
| Pro | $35/月 | 20,000 units/月 | 全動画モデル利用可、Nodesでのワークフロー自動化、Nodes Agent |
| Max | $105/月 | 60,000 units/月 | LoRA学習が2,000枚まで無制限、同時実行数拡大、relaxed生成が無制限 |
| Business | $200/月 | 80,000 units/月 | 最大50シート、LoRA学習20,000枚まで、権限管理などチーム向け機能 |
| Enterprise | お問い合わせ | カスタム | SLA付きサポート、監査ログ、メンバー単位の利用上限設定 |
compute unitの消費量も料金ページに例が出ていて、たとえばBasicプランだと画像生成モデル「Nano Banana 2」で64回分、動画モデル「Seedance 2.0」で20本分が月の割り当てだそうです。Proだと同じ計算でNano Banana 2が257回、Seedance 2.0が83本。数字で見ると動画のほうがcompute unitの消費が重いのがわかります。
海外での評判
Hacker Newsでは「Krea 2」の重み公開スレッドが415ポイント・47コメントとかなり伸びていました。共同創業者でCTOのDiego Rodriguez氏(dvrpアカウント)本人が投稿していて、データのキュレーションからRLパイプライン、社内インフラまで書いた技術レポートを「業界の水準からするとかなり詳しく書いた」と紹介していました。
We are on par with Nano Banana in terms of image quality as per Artificial Analysis text-to-image benchmarks. We also attached a permissive license for individuals and small businesses.(Artificial AnalysisのベンチマークではNano Banana相当。個人・小規模事業者向けには寛容なライセンスを付けた)
ベンチマークサイト「GenAI Showdown」を運営するvunderbaさんは実際にモデルを試したようで、ローカルで動かせるモデルの中では最高スコア、Ideogram 4には一歩及ばずという結果を報告していました。
Results are in! This is a really impressive showing especially given how fast the Turbo model at 8 steps. The only locally hostable model that managed to outperform it was Ideogram 4…(結果が出た。8ステップという速さでこれはかなり印象的。ローカルで動かせるモデルの中でこれを上回ったのはIdeogram 4だけだった)
ただし「nine-pointed star」「Count Rugen」「overcrowded flat Earth」といった、いわゆる”モデル殺し”のテストは通らなかったとも書いていて、15問中6問通過という結果だったそうです。
一方で厳しい声もありました。commonerさんは「重みを公開しているのは評価するけど、これはオープンソースとは呼べない」と指摘していて、ライセンス条項にある「年間売上高が100万ドルを超えたら商用利用にはエンタープライズライセンスの契約が必要」という条件を問題視していました。BoredPositronさんも「良いモデルだけど、Qwen VAEを使っているのが残念」と一言。これに対してはKrea側のmattnewton氏が、Krea 2 LargeはFLUX 2 VAEで学習していて、リアリズムを求めるならそちらを試してほしいとコメントを返していました。
コンテンツポリシーについての不満も出ていました。Taekさんは「ポルノやグロテスクな表現について、Kreaのスタンスはどうなのか。合法な範囲であっても主要モデルが安全性を理由に強く制限してくるのはフラストレーションが溜まる」と投稿していて、これには直接の回答はついていませんでした。似たようなツールを日常使いしているというpwythonさんは「Z-Image Turboを毎日使っていて、ストックフォトの契約が要らなくなった」とコメントしつつ、Krea 2の学習コストを尋ねていましたが、こちらも公開スレッド内では明確な回答は見当たりませんでした。
日本語対応と日本からの使い勝手
公式サイトやHNのスレッドの中に、日本語対応をうたう記載は見当たりませんでした。UIやドキュメントが日本語化されているという情報はソースになかったので、その点は正直に「わからない」としておきます。ただし公式サイトのデモ部分には「You can write in any langauge」(どの言語でも書ける)という説明があり、プロンプト自体は日本語で入力しても生成できる作りにはなっているようです。
登録して始めるまで
公式サイトのトップにある導線は「Start for free」あるいは「Sign up for free」で、Freeプランは「No credit card required」とクレジットカード登録が不要と明記されています。Freeプランでは1日あたり100 compute unitsが付与され、Krea 2へのアクセスとリアルタイムモデルへのフルアクセスが含まれるとのことです。画像・動画・3D・LoRA学習・アップスケーリングはFreeプランだと制限つき、というのがソースに書かれている範囲です。それ以上の具体的な登録フロー(メール認証があるかなど)についてはソースに記載がないので、ここでは触れません。
まとめ:向いてる人・向いてない人
複数の海外モデルを1つのサブスクにまとめて触りたい人には向いていると思います。VeoやIdeogram、Runway、Fluxあたりを個別契約するより、Kreaの中で行き来したほうがコスト的にも動線的にも楽そうです。あと自社モデルのKrea 2はHNの評価を見る限りローカル実行モデルの中でもかなり健闘していて、技術レポートを公開する姿勢も含めて好意的に受け止められていました。
逆に、完全にオープンなライセンスのモデルを求めている人にはあまり向きません。commonerさんが指摘していたとおり、Krea 2 RAWの重みは年商100万ドルを超えると別途エンタープライズ契約が必要になる条件つきで、いわゆる「オープンソース」とは違います。ポルノやグロテスクな表現を含むコンテンツを作りたい人にとっても、Taekさんのコメントを見る限り期待通りにはいかなそうです。動画メインで使いたい場合はBasicプランだと一部モデルしか使えず、全動画モデルへのアクセスはProプラン($35/月)以上が必要になる点も、想定より上のプランを選ぶことになりそうな要素です。