チャットで指示するだけでWebアプリやサイトを作ってくれる「Lovable」というツールがあります。プログラミングの知識がなくても、思いついたアイデアを文章で説明すればAIがその場でプロトタイプを組み上げてくれる、というのがウリです。今回取り上げたきっかけは、Hacker Newsで「Open Lovable」というオープンソースのクローンプロジェクトが話題になっていて、その議論のなかでLovable本体の立ち位置についてもいろいろ言及されていたことです。日本語での紹介はまだ少ないみたいなので、公式情報とHNでの反応を整理しておきます。
Lovableとは?何ができるのか
公式PricingページのFAQには、Lovableについて「Lovable is an AI software engineer, which enables anyone to build for the web」と説明されています。要するに、チャットでやり取りするだけで技術知識なしにWebサイトやWebアプリを作れる、AIエンジニア役という位置づけです。
公式サイトのトップページで示されている使い方の流れはシンプルです。
- 作りたいアプリやサイトのアイデアを文章で説明する(スクリーンショットやドキュメントを渡すこともできる)
- AIがリアルタイムでプロトタイプを組み上げていくのを見る
- フィードバックを重ねて仕上げ、ワンクリックで公開する
用意されているテンプレートも幅広くて、編集感のあるホームグッズ店サイト「Maison」、画像やテキストをドラッグ&ドロップで並べられるビジュアルインスピレーション用の「Inspo Canvas」、個人ブログ、ファッションブログ、ストリークやカレンダーヒートマップ付きの習慣トラッカー「Continuum」、コードで作るプレゼンツール「Lovable slides」、ポートフォリオサイト、ECサイトのテンプレートまで並んでいます。単なるランディングページ作成ツールというより、ある程度ロジックのあるアプリ寄りの用途も想定しているようです。
HN上の「Open Lovable」スレッドでは、Lovable本体についてのコメントも見つかりました。ユーザーのvunderbaは「Lovableはそれ自体で完結したLLMチャットで、Supabase連携をオプションにしつつ新しいReactサイトを作るものだ」とコメントしていて、React+Supabaseという組み合わせで動いているらしいことがうかがえます。同じスレッドでjacooverは「オープンソースのBoltもあるし、LovableやReplitと十分張り合える」と発言していて、AIアプリビルダーの中ではBolt・Replitと並ぶ存在として扱われているようです。
料金プラン
Pricingページを見る限り、具体的な月額のドル価格はテキスト上には見当たりませんでした。Pro・Businessというプラン名は出てくるものの、それぞれ何ドルなのかはFAQ部分に書かれていません。代わりに「クレジット」という単位で説明されていて、これがちょっとわかりにくいので整理します。
| プラン | 付与されるクレジットなど |
|---|---|
| 無料プラン | 1日5ビルドクレジット(月換算で最大30)、月20 Cloudクレジット、AI機能お試し用に4クレジット |
| 有料プラン(Pro / Business) | プランごとの月次クレジットが口座に追加+毎日5ビルドクレジット+月20 Cloudクレジットの付与も継続(具体的な月額ドル価格は公式ページのテキストに記載なし) |
クレジットの消費量はメッセージの内容によって変わる「Default Mode」と、1メッセージ=1クレジット固定の「Plan Mode」があります。公式が例として挙げているのはこんな感じです。
| プロンプト例 | 内容 | クレジット |
|---|---|---|
| 「ボタンをグレーにする」 | ボタンのスタイル変更 | 0.50 |
| 「フッターを削除する」 | フッターコンポーネントの削除 | 0.90 |
| 「サインアップとログインの認証を追加する」 | 認証ページとロジックの追加、ルート更新 | 1.20 |
| 「画像を使ったランディングページを作る」 | 画像3枚生成+テーマ+5セクションのLP作成 | 1.70 |
「ボタンをグレーにする」程度の軽い修正なら0.5クレジットで済む一方、認証機能の追加は1.2クレジット、画像入りのランディングページを1本作ると1.7クレジットと、ある程度まとまった量を使うのが目安になりそうです。
クレジットの有効期限もけっこう細かくて、月額プランのクレジットは付与から2ヶ月で失効、年額プランのクレジットは年間契約期間の終了から1ヶ月で失効、追加購入したトップアップクレジットは購入から12ヶ月有効、毎日付与される無料のビルドクレジットはその日のうちに使わないと繰り越しされません。プランを解約した場合は、残っているクレジットを請求期間の終わりまでは使え、その後は無料プランの権利だけが残る仕組みです。クレジットの返金はできません。
チームで使う場合は、招待したメンバー全員でワークスペースのクレジットを共有する形になっていて、管理者側でメンバーごとの月間上限を設定できるようになっています。
海外での評判
正直に書いておくと、Hacker Newsで「Lovable」というキーワードを追いかけると、綴りが同じだけの別サービス(ドメイン+メール転送サービスのomg.lolを「a lovable web page」と紹介したスレッドなど)がかなり混ざってきて、Lovable本体そのものへのレビュースレッドはあまり見つかりませんでした。今回まとまった反応が拾えたのは、「Open Lovable」というLovableのクローンを名乗るオープンソースプロジェクトについてのスレッドです。Lovable本体のレビューというより、このクローンプロジェクトを巡る議論のなかでLovableの立ち位置が語られている、という体裁なのでその前提で読んでください。
まずツッコミが入っていたのがプロジェクト名そのものについてです。
Wait is this a Lovable clone that is actually called open-lovable? That seems bold(これってLovableのクローンで、しかも名前がopen-lovableなの?なかなか大胆だな)
というcal85のコメントのとおり、堂々とLovableの名前を借りたクローンが出てくること自体、それだけLovableが認知されているツールだという裏返しでもあるんですよね。
一方でvunderbaは、そもそもopen-lovableがなぜLovableの名前を出しているのか疑問視したうえで、Lovable本体についてこう説明していました。
Lovable is more of a self-contained LLM chat which creates a new react site with optional supabase integration(Lovableはそれ自体で完結したLLMチャットで、Supabase連携をオプションにしつつ新しいReactサイトを作るものだ)
批判というより混同への指摘という感じですが、Lovableが単体で完結した仕組みだという点は参考になります。
競合との比較で名前を出していたのがjacooverです。
Why not use bolt? It’s open source and is competitive with lovable and replit(なんでBoltを使わないんだ?オープンソースだし、Lovableやreplitと十分張り合える)
ここではLovableとReplitが、オープンソースのBoltと比較される対象として名前が挙がっています。裏を返すと、Lovable自体はオープンソースではないクローズドなサービスという扱いをされているわけで、オープンソースじゃないと使わないという層からするとそこが引っかかりポイントになりそうです。似た文脈でthedevilslawyerも「ブラウザ上のwebcontainerを使うbolt.diyというのもある」と、代替ツールの名前を挙げていました。
まとめると、HN上の反応は好意的な絶賛でも痛烈な批判でもなく、「AIでWebアプリを作るジャンルの代表格の一つとして名前が挙がる」くらいの温度感でした。もう少し直接的なレビューコメントが見つかればよかったんですが、今回参照できた範囲ではここまでです。
日本語対応と日本からの使い勝手
公式サイトにもPricingページのテキストにも、日本語対応についての記載は見当たりませんでした。UIやチャットが日本語に対応しているかどうかは、今回のソースだけでは確認できません。
料金もドル建てのクレジット制なので、日本から使う場合はカードの海外決済対応や、為替レートによって実質的な負担額が変わってくる点は意識しておいたほうがよさそうです(円換算の具体的なレートはソースにないので、ここでは触れません)。
登録して始めるまで
公式サイトに書かれている範囲だと、始め方はシンプルです。
- 作りたいアプリやサイトのアイデアを文章で説明する(スクリーンショットやドキュメントを渡すこともできる)
- AIがリアルタイムでプロトタイプを組み上げていくのを見る
- フィードバックを出しながら作り込み、仕上がったらワンクリックで公開する
「Get started」ボタンから始める形になっていて、無料プランなら1日5ビルドクレジット(月最大30クレジット)と月20 Cloudクレジットの範囲内で、課金せずに触ってみることができます。登録画面の詳しい手順(メール認証が必要かどうかなど)については、今回のソースには記載がなかったので触れません。
まとめ:向いてる人・向いてない人
ここまでの情報を整理すると、Lovableが向いていそうなのは、コードを書かずにアイデアをすぐ動くプロトタイプにしたい人です。テンプレートの幅を見る限り、ランディングページだけじゃなく習慣トラッカーやECサイトみたいな、ある程度ロジックのあるアプリまでカバーしているのは強みだと思います。
逆に向いてなさそうなのは、料金の全体像を契約前にきっちり把握したい人です。今回参照した公式ページには、Pro・Businessプランの具体的な月額ドル価格が書かれておらず、クレジットの消費量もタスクの複雑さ次第という説明にとどまっていました。無料プランの範囲や消費クレジットの例は具体的なんですが、肝心の「結局月いくらなのか」が見えにくいのは、契約を検討する側からするとちょっと不親切な設計だなとは感じます。
あと、HN上でBoltが「オープンソースの代替」として名前が挙がっていたように、クローズドなサービスに抵抗がある人はそもそも候補から外れそうです。日本語対応についても公式には記載がないので、まぁ英語でのチャットのやり取りに抵抗がない人向け、というのが今のところの結論です。