今回紹介するのはSudowrite。小説やフィクションを書く人向けに作られたAIライティングツールで、ブログ記事やビジネス文書向けのAIライターとは違って「物語を書く」ことに全振りしているのが特徴です。公式サイトには作家やスクリーンライターの推薦コメントがずらっと並んでいて、海外ではそれなりに名前が通っているツールみたいなんですよね。日本語の紹介記事がまだ見当たらなかったので、公式情報と海外の反応をまとめておきます。
Sudowriteとは?何ができるのか
公式サイトのキャッチコピーは「非judgementalなAIライティングパートナー」。エンジニア向けではなく、あくまで小説家向けに作られたチャット機能も用意されていて、キャラクターやトーン、プロット展開を分析した上で会話できるようになっているそうです。
機能はかなり細かく分かれていて、それぞれに名前がついています。
- Story Bible:アイデア出しからアウトライン作成、章立て、実際の執筆まで段階的に進められる機能。自分の文体に合わせて書いてくれるとのこと
- Write:公式いわく「ステロイドを打ったオートコンプリート」。キャラクターやトーン、プロットの展開を分析して、続きの300語を自分の声で提案してくれる。しかも選択肢を複数出してくれる
- Describe:アクションと会話ばかりで物語が平坦になりがちなところに、読者がキャラクターとつながれるような描写を足してくれる機能
- Expand:展開を計画してもどうしても駆け足になるシーンが出てくるので、そこを膨らませてペース配分を整える機能
- Rewrite:公式の表現を借りると「超柔軟でしつこいくらい粘り強い、エゴのない改稿相棒」。指示に従って書き直してくれる
- Feedback:改善点を5つ提示してくれる機能。何度読ませても文句を言わないし傷つかない、と書いてあって地味に笑いました
- Canvas:プロットの分岐点やキャラクターの秘密、どんでん返しの案をAIが一緒に考えてくれる、いわゆるマインドマップ的な機能
- Brainstorm:名前や魔法アイテム、タイトル案を無限に出してくれるブレスト機能。気に入った案に「いいね」すると、それを学習してより良い案を出すようになるらしい
- Visualize:キャラクターシートや世界観設定から、その説明文をもとにイラストを生成する機能
直近では「Muse 1.5」というフィクション専用に作られたAIモデルも導入されたと告知されています。見た目のカスタマイズにもこだわりがあるようで、8種類のテーマと5種類のダークモード、集中用のフルスクリーンモード、プロジェクトごとの原稿・章の整理機能なども用意されているそうです。プラグインも1,000種類以上あり、読者をシミュレートしたり、キャラクターと会話したり、小説を脚本形式に変換したりできると書かれていました。
料金プラン
料金は月払い・年払いのトグルがあり、年払いだと最大50%オフになるとのこと。プラン自体は3段階です。
| プラン | 月額 | クレジット | 想定ユーザー |
|---|---|---|---|
| Hobby & Student | $10 | 225,000/月 | 趣味や学校の課題で書く人向け |
| Professional(人気プラン) | $22 | 1,000,000/月 (ページ上では450,000という表記も並んで出ていて、正直どちらが月払い分なのかはっきりしません) |
長編小説や脚本など、長い作品を書く人向け。Feedback機能が使える |
| Max | $44 | 2,000,000/月 | 年に複数回出版するような作家向け。未使用クレジットは12ヶ月繰り越し可能 |
Enterprise向けのプランも用意されていて、こちらは個別に問い合わせる形式で金額は載っていませんでした。どのプランも無料トライアルがあり、クレジットカード登録は不要、いつでも解約できるとのこと。「EZ Cancel Guarantee」という名前までついていて、解約が面倒で使い続けさせるようなことはしない、と公式が明言しているのは好印象です。
海外での評判
Sudowriteについて掘れたのはHacker Newsのスレッドだけでした。しかも「Sudowrite: A GPT-3-based fiction writing tool」というタイトルの通り、GPT-3ベースだった頃、つまりかなり初期のクローズドベータ段階の話です。20ポイント・コメント5件と規模は小さいですが、当時の空気感が残っていて面白いので紹介します。
まだ大したものは見えない。Googleフォームで申し込むクローズドベータだ(latexr)
早く触ってみたい。Tweetstormを書き始めるきっかけとして、どんな感じになるか気になる(dksf)
登録してみた……これでSubstackのニュースレターを立て直せるかな。真面目な話、創作のパートナーとしてのAIはこれから相当でかいものになる気がする(vdthatte)
このスレッドには創業者のjamesjyu氏本人も登場していて、こんなコメントを残していました。
Sudowriteの創業者です。まだ早期段階なので、広く公開する前にちゃんと形にしたいと思っています。とはいえ、どんな種類のフィクションを書いている人でも登録は歓迎していて、これから数週間かけてアクセスを開放していく予定です。自分たちはテック畑の人間でありながらフィクションも書いている二人組で、実際にSudowriteを自分たちの創作フローで使っていて、下書きの初期段階でかなり助かっています。24時間対応のブレストパートナーだと思ってもらえれば(jamesjyu)
不満の声というほどの批判は出ていなくて、どちらかというと「まだ何も見えない」という様子見のコメントが目立つ感じです。ちなみに公式サイトにはHugh Howey氏(『Silo』の著者)が「scary good」、ジャーナリストのMark Frauenfelder氏が「it just kicks ass」と評価したコメントも掲載されていましたが、これは公式が選んで載せている推薦文なので、そのまま鵜呑みにはしない方がいいかなとは思います。
日本語対応と日本からの使い勝手
公式サイトには「30以上の言語に対応」という記載がありました。ただ、その30以上の言語に日本語が含まれるかどうかは明記されていません。公式には日本語の記載が見当たらないので、実際に日本語の小説執筆でどこまで使えるかはソースからは判断できないというのが正直なところです。
登録して始めるまで
公式サイトのトップには「Try Sudowrite for free」というボタンと、Googleアカウントでのサインアップ導線があります。各有料プランのページにも「Start Free Trial」ボタンがあり、いずれも「クレジットカード不要、いつでも解約可能」と書かれています。具体的な登録フォームの中身や、トライアル終了後の挙動まではソースに書かれていないので、そこは実際に登録画面を開いて確認するしかなさそうです。
まとめ:向いてる人・向いてない人
Story BibleでアイデアからDraftまで一気通貫、Writeで続きを提案、Rewriteで改稿、Feedbackで客観的な指摘までもらえる。長編小説や脚本を書いている人からすると、工程ごとに専用機能が揃っているのはかなり魅力的だと思います。月10ドルのHobbyプランから試せて、クレジットカードなしでトライアルできるのも入りやすいポイントです。
一方で、日本語対応がどこまでできるのか公式情報だけでは分からないのは、日本の書き手にとってはやっぱりネックです。あと今回参照できた海外の生の声がGPT-3時代の初期ベータのものしかなく、現行のMuse 1.5世代でどう評価されているかまでは追えていません。そのあたりは今後、Redditなど別のソースも出てきたら追記したいところです。