ターミナルで動くAIコーディングツールっていくつかあるんですが、その中でもAiderはHacker Newsで結構前から話題になってるツールなんですよね。GitHubのスター数はすでに4.4万、公式サイトによると週に150億トークンが処理されているらしく、それなりの規模で使われているのが伝わってきます。エディタに埋め込まれた補完系のAIとは違って、ターミナルからLLMと会話しながらコードベース全体をいじっていくタイプのツールで、海外エンジニアの間では賛否両方の声がわりとはっきり出ています。今回は公式サイトの情報と、Hacker Newsに集まったコメントを中心に、Aiderがどんなツールなのかまとめてみます。
Aiderとは?何ができるのか
Aiderは公式サイトの説明によると「AI pair programming in your terminal」、つまりターミナル上でLLMとペアプログラミングするためのツールです。新しいプロジェクトを一から始めることも、既存のコードベースに手を入れることもできるとされています。
対応モデルとしては、公式サイトにClaude 3.7 Sonnet、DeepSeek R1・Chat V3、OpenAIのo1・o3-mini・GPT-4oで一番うまく動くと明記されていて、それ以外にもほぼどんなLLMにも接続できる、ローカルモデルも含めて、とあります。
機能面で公式が挙げているのは以下の通りです。
- コードベース全体のマップを作成し、大きなプロジェクトでも扱いやすくする
- python、javascript、rust、ruby、go、cpp、php、html、cssなど100以上の言語に対応
- 変更のたびにgitで自動コミット(コミットメッセージも自動生成)。使い慣れたgitツールでdiff確認や取り消しが可能
- IDE内でも使えて、コード中のコメントで変更を依頼できる
- 画像やWebページをチャットに追加して視覚的な文脈を渡せる
- 音声でコードの変更やテスト、バグ修正を指示できる(Voice-to-code)
- lintやテストを変更のたびに自動実行し、検出された問題を修正
- API経由だけでなく、ChatGPTなどのWebチャットにコピペする使い方もできる
正直このリストだけ見ると機能てんこ盛りな印象なんですが、Hacker Newsのコメントを読むと実際の評判はもう少し温度差があります。それは後述します。
料金プラン
Aiderの料金について公式サイトとPricingページを確認しましたが、具体的な金額の記載は見当たりませんでした。Aider自体はオープンソースのCLIツールで、インストール数は680万件と公式に表示されています。
ただしAiderを動かすにはLLMのAPIキーが別途必要です。公式のGetting Startedのコード例では、DeepSeek・Claude 3.7 Sonnet(Anthropic)・o3-mini(OpenAI)それぞれの–api-keyオプションを使ってキーを渡す形になっていて、各プロバイダとの契約・従量課金が前提になっています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| Aider本体 | 無料(オープンソース、価格ページに金額記載なし) |
| 利用に必要なもの | 各LLMプロバイダのAPIキー(別途契約・従量課金) |
| 相性の良いモデル例 | Claude 3.7 Sonnet、DeepSeek R1・Chat V3、OpenAI o1・o3-mini・GPT-4o |
| ローカルモデル | 対応(公式に「ほぼどんなLLMにも接続できる」と記載) |
なのでAider自体の料金は気にしなくていいんですが、実際の費用はどのモデルをどれだけ使うかで変わってくる、というのが正確なところです。ソースには具体的な金額の数字が出てこないので、料金感が気になる人は各プロバイダの料金ページを見るしかなさそうです。
海外での評判
Hacker Newsの「Aider: AI pair programming in your terminal」というスレッドには432ポイント・156コメントとかなりの反応が集まっています。好意的な声もあれば結構辛口な意見も多くて、このあたりが海外の評判のリアルなところだと思います。
まず好意的な声から。ユーザーtyomaは、自分が知らない技術で書かれた新しいコードベースを理解するのにAiderを使ったところ、grep/findとGoogle検索を組み合わせるより速くて素晴らしい結果だったとコメントしています。
「知らない技術で書かれた新しいコードベースを理解するのに使ったが、素晴らしい仕事をした。grep/findとGoogleを組み合わせるよりずっと速い」(HN, tyoma)
bearjawsも、今はChatGPTと組み合わせてAiderしか使っていないというくらい評価していますが、それでも「ChatGPTの怠慢さ」に悩まされることがあって、正しい出力が出るまで何度もリトライさせられる場面があるとも書いています。
「今はAiderがChatGPTでコーディングする際に使う唯一のツール。Copilotも悪くないが、CLIで作業内容を宣言できる分割されたコンテキストが好き。ただ、時々ChatGPTの怠慢さに悩まされる。正しい出力を得るまで何度もリトライしているのが見える」(HN, bearjaws)
一方でfvdessenは試してみたところ「めちゃくちゃクール」ではあるものの、出力の質がスクリーンショットやGIFで見せられているほどではなく、細かいミスが多いと指摘しています。
「試してみたが、めちゃくちゃクールではある。でも自分にとっては出力の質がまだそこまでではない。スクリーンショットやGIFが見せているほど有用に使うには、細かい間違いが多すぎる」(HN, fvdessen)
Pythonの依存関係まわりを問題視する声もありました。wanderingmindは、Aiderの依存関係が自分のコードの要件と衝突すること、コード環境の外にインストールしないと使えないこと、本番環境でもAiderの依存関係をすべて入れる必要が出て攻撃対象領域が広がることを挙げて、グローバルバイナリでのインストールが提供されるまでは代替ツールのPlandexを勧める、と書いています。
「Aiderにはpythonのコードベースで作業するときに大きな問題がある。依存関係がコードの要件と衝突する。コード環境の中にインストールしないなら、ローカルコマンドを実行してパイプで結果を渡すやり方を使うしかない。本番環境でもAiderの依存関係全部を使う必要があり、攻撃対象領域が広がる」(HN, wanderingmind)
実際に壊れた、という報告もあります。perbuは300行のGoアプリで-dry-run機能の実装を頼んだところ2回とも失敗(1回目はファイルを壊し、2回目は何もしないコードを生成)、グローバル変数のリネームを頼んだ時もアプリケーションを壊してスコープのルールを理解できなかった、と書いています。
「300行のGoアプリでgitタグを管理しているんだが、-dry-run機能の実装を頼んだら2回とも失敗した。1回目はファイルをめちゃくちゃにされ、2回目は何もしないコードが生成された。グローバル変数のリネームを頼んだ時もアプリを壊してスコープのルールを理解できていなかった」(HN, perbu)
まぁこのあたりは言語やコードの書き方との相性も出そうな話で、Pythonでは評価が高い一方Goでは苦戦している、という書き込みが同じスレッド内に並んでいるのも興味深いところです。なお、bumbledravenは開発者と思われる「@anotherpaulg」への感謝もコメントしていて、GPT-4 Turbo with Visionが以前のGPT-4より「lazy coding」の傾向が強くベンチマークが悪化した、というブログ記事も紹介されていました。Aiderは独自のコード編集ベンチマークを持っていて、別のHNスレッドでも「Claude 3 beats GPT-4 on Aider’s code editing benchmark」という形でモデル比較の物差しとして使われているようです。
日本語対応と日本からの使い勝手
公式サイトとPricingページ、Hacker Newsのコメントを見る限り、公式には日本語の記載が見当たりません。UIやドキュメントが日本語化されているという情報もソースの中にはないので、基本的には英語のドキュメントを読みながら使うことになりそうです。対応言語として明記されているのはpython、javascript、rust、ruby、go、cpp、php、html、cssなどのプログラミング言語で、日本語のような自然言語での対応については触れられていません。
登録して始めるまで
Aiderのインストール手順は公式サイトのGetting Startedにコマンドがそのまま載っています。
- python -m pip install aider-install でインストーラーを入れる
- aider-install を実行
- cd /to/your/project で自分のプロジェクトのディレクトリに移動
- 使いたいモデルに応じてAPIキーを指定して起動。例えばDeepSeekなら aider –model deepseek –api-key deepseek=<key>、Claude 3.7 Sonnetなら aider –model sonnet –api-key anthropic=<key>、o3-miniなら aider –model o3-mini –api-key openai=<key>
会員登録やアカウント作成といったステップは公式サイトの説明には出てきません。基本的にはPython環境にインストールして、使いたいLLMプロバイダのAPIキーを用意すればすぐ始められる、という作りのようです。ただしwanderingmindのコメントにもあった通り、Python環境への依存関係がある点は事前に頭に入れておいた方がよさそうです。
まとめ:向いてる人・向いてない人
ここまで見てきた内容をまとめると、Aiderはターミナル操作に抵抗がなくて、gitでの差分管理やコミットの取り消しも含めて自分でコントロールしたい人には向いているツールだと思います。tyomaのように知らないコードベースの理解に使う、という用途は特に評判が良さそうでした。
逆に、GUIでの操作に慣れていてIDEにガッツリ統合されたAI補完を期待している人には物足りないかもしれません。joshstrangeのコメントにもあった通り、JetBrainsなどのIDEへの深い統合を求める声もHN内で出ていました。
あと、fvdessenやperbuのように細かい間違いや実装の失敗を報告している人もいるので、過信は禁物という印象です。Python環境の依存関係の問題を指摘する声もあったので、そのあたりが気になる人はwanderingmindが挙げていたPlandexのような代替ツールも比較検討してみるといいかもしれません。まぁ無料で試せる部分ではないので(APIキー代はかかる)、いきなり本番コードで試すよりは、小さめのリポジトリで挙動を確かめてから使うくらいがちょうどいいのかなとは思います。