Krispはオンライン会議のノイズキャンセリングから始まって、今は会議前のアジェンダ作成からAIによる議事録・要約まで面倒を見てくれるツールになっています。Zoom・Google Meet・Microsoft Teamsなど通話アプリを選ばずに使えるのが売りらしく、リモート会議が多い人や、声の聞き取りやすさがそのまま仕事の質に直結するコールセンターの現場向けに展開されています。もともとはノイズキャンセルアプリとして海外で話題になった経緯があって、Hacker Newsでもかなり早い段階から議論されていたツールです。今回は公式サイトと当時のHacker Newsの反応をもとに、機能と料金、評判を整理してみます。
Krispとは?何ができるのか
公式サイトを見ると、Krispは大きく3つの製品ラインに分かれていて、個人・チーム向けの「AI Meeting Assistant」、コールセンター向けの「Call Center AI」、音声APIを提供する「Developers」向けの3つがあります。日本で議事録用途として気になっている人がほとんどだと思うので、ここではMeeting Assistantを中心に見ていきます。
会議前の段階では、過去の会話をもとにAIがアジェンダを提案してくれる機能があり、録音モードも「文字起こしのみ」「音声」「映像」から選べるようになっています。会議中は看板機能のノイズキャンセリングに加えて文字起こしと録音をその場でこなし、アクセント変換という機能で発言者側・聞き手側どちらの訛りも変換できるとのこと。会議後は要約とアクション項目が自動で整理されて、Salesforce・HubSpot・Slackなどに直接同期できるとされています。
地味に気になったのが「Ask Krisp」という機能で、公式の説明では文字起こしをわざわざChatGPTにコピペしなくても、その場でAIに質問できるとのことでした。用意されたテンプレートで足りない部分をチャットで聞ける、という位置づけらしいです。対応言語については「16言語で文字起こしと要約が可能」という表記があり、複数言語が混ざるチームには意味のある機能だと思います。あと会議以外にも、モバイル・デスクトップアプリで対面の打ち合わせを録音・文字起こしできるとも書かれていました。
料金プラン
料金は月払いと年払い(年払いだと半額)の2種類が用意されていて、公式サイトの表記をそのまま整理すると次のようになります。
| プラン | 料金 | 主な内容 |
|---|---|---|
| Free Trial | $0(7日間) | 無制限の文字起こし・ノイズキャンセリング・録音・AIノート/アクション項目。アクセント変換は制限あり。クレジットカード登録不要 |
| Core | $16/月/ユーザー(年払いだと$8/月/ユーザー) | 無制限のAIノートテイカー、文字起こし、録音、対面会議のメモ、無制限ノイズキャンセリング、Notion・Zapier・HubSpot・Slack・Affinity・Pipedrive連携、モバイルアプリ、アクセント変換1時間/日、10GBストレージ |
| Advanced | $30/月/ユーザー(年払いだと$15/月/ユーザー) | Coreの内容に加えて、アクセント変換(発言者側4時間/日、聞き手側は無制限)、Salesforce・ConnectWise連携、管理者向けの高度な設定、マネージャービュー、60GBストレージ |
| Enterprise | 要問い合わせ | SSO/SCIM、SOC2レポートへのアクセス、100席以上ならBAA締結可、データセンターの選択、オンデバイスでの非公開処理、HIPAA準拠、ストレージ無制限 |
年払いにするとCore・Advancedとも実質半額になる設計で、個人で試すだけなら7日間の無料トライアルで一通りの機能に触れられるみたいです。ただしアクセント変換の時間制限(Coreだと1日1時間)はけっこう細かく区切られていて、営業電話を1日何本もかけるような使い方だとCoreでは足りなくなりそうだなという印象です。まぁ、チームで長く使う前提なら年払いにした方が得ではあります。ちなみにコールセンター向けのCall Center AIは別料金体系で、公式には「エージェント1人あたり月$10〜(年払い)」という記載がありましたが、これは議事録用途とは別プロダクトなので今回は参考程度にとどめます。
海外での評判
Krispが元々ノイズキャンセルアプリとして紹介されたHacker Newsのスレッド(393ポイント、107コメント)には、賛否入り混じったコメントが100件以上ついていました。
「パッと聞いて5秒でダウンロードした。正直、話がうますぎて疑ってる」(dylanpyleさんのコメントより)
好意的な反応はやはりノイズ除去の精度に関するものが多くて、キーボードの打鍵音を消せたという実測コメントもありました。
「Skypeのテスト通話でオンオフを切り替えながらキーボードを叩いてみたけど、うるさかった打鍵音がほぼ消えてた」(michaelmiorさんのコメントより)
一方で、実際にZoom通話で試した人からは、公式サイトのデモほどきれいには効かないという指摘も出ていました。
「Zoomで試したけど、公式サイトのサンプルほどではなかった。無音の間は消えるのに、相手が話している最中は周りの音が残ることがあって、逆に気になる」(presidentさんのコメントより)
対応プラットフォームについての不満もあって、当時はMac中心の展開だったことにこんな声もありました。
「WindowsかLinux版が出てくれるといいんだけど。Macは悪くないけど、シリコンバレー以外だとビジネスではWindowsの方が多い」(misesさんのコメントより)
説明が分かりにくいという指摘もあって、これはプロダクトの見せ方の問題として結構本質的だなと思いました。
「トップページとFAQを読んだけど、まだ何をするアプリなのか100%はわかってない。ノイズをリアルタイムで消すアプリなのか、もっとちゃんと説明した方がいい」(aaronsnoswellさんのコメントより)
あと本筋とは関係ないですけど、”Seemless calls”という表記の誤字(本来はSeamless)に食いついて言語談義を始めてる人もいて、こういう脱線コメントが伸びるあたりがHNらしいなと思いました。
日本語対応と日本からの使い勝手
公式サイトには「16言語で文字起こし・要約に対応」という記載はあるものの、その16言語の内訳や日本語が含まれるかどうかについての具体的な記載は見当たりませんでした。ソースの範囲では断言できないので、日本語で使えるかどうかは公式に問い合わせるか、実際にトライアルで試してみるのが確実だと思います。料金や機能の説明ページも英語中心で、管理画面など操作UIの日本語対応についての記載も見つけられませんでした。
登録して始めるまで
サインアップの詳しい手順までは公式サイトに書かれていませんでしたが、トップページの「Get Krisp for free」やプランページの「Try it Free」から7日間の無料トライアルを始められて、クレジットカードの登録は不要と明記されています。トライアル中は文字起こし・ノイズキャンセリング・録音・AIノートが無制限で使えるとのことです。モバイルアプリも用意されていて、外出先の対面ミーティングもアプリで録音・文字起こしできると書かれていました。
まとめ:向いてる人・向いてない人
まとめると、Zoomなどの会議アプリを問わずノイズキャンセリングと議事録をセットで欲しい人、特にSalesforceやHubSpotに議事録を流し込みたい営業チームには向いていると思います。逆に、アクセント変換の時間制限が細かいので、1日中電話営業しているような使い方だとCoreプランでは足りなくなりそうです。日本語での利用実績が確認できない以上、日本語の会議がメインの人はいきなり有料プランに課金するよりトライアルで文字起こしの精度を見てから決めた方がいいだろうと思います。ノイズキャンセリング自体はHacker Newsでも評価されている一方、条件によっては公式デモほどきれいに効かないという声もあったので、そのあたりは期待値を少し下げておいた方がよさそうです。