「人間のアシスタントを月8,000ドルで雇うか、Lindyを使うか」——公式サイトのトップにこの比較がどーんと出てくる時点で、Lindyがどこを狙っているプロダクトなのか一発でわかる。メールの仕分けと返信の下書き、会議のスケジュール調整、会議前のブリーフィングと議事録、タスクのリマインドまで、要は「秘書がやっていた仕事」をAIにまとめて任せるツールだ。GmailやOutlookを日常的に使っていて、受信箱の未読が一向に減らないことにうんざりしている人向け。今回は公式サイトとPricingページの情報、それとHacker Newsでの反応を突き合わせて整理してみる。
Lindyとは?何ができるのか
Lindyは自分自身を「AI executive assistant(AI実行アシスタント)」と名乗っている。公式サイトが挙げている機能は大きく4つ。メールのトリアージと下書き(受信メールにラベルを付けて、本人の文体で返信案を作成。重要なメールはテキストで知らせてくれる)、会議のスケジューリング(空いている時間を見つけて招待を送り、予定が変わったら再調整)、会議の準備と録音(通話前にブリーフィング、通話中にメモ、終わったら要点とアクションアイテムを送付)、そしてリマインダーとアクションアイテムの管理(メールや会議から次にやることを拾い出して、期限が近づいたら知らせる)。
使い方の起点になっているのがiMessageやSMSでのチャットで、ダッシュボードを開いて操作するというより、テキストでLindyとやり取りする設計になっている。連携先は「100以上の連携」とだけ書かれていて、SlackやGoogleカレンダー、Notionなどの名前が挙がっている。導入の流れは「メールを接続(Gmail/Outlookを60秒以内に連携)→Lindyが書き方の癖を学習→時間が浮く」の3段階として紹介されていて、公式サイトには「1日2時間が戻ってくる(Two hours back every day)」という数字も出ている。
料金プラン
Pricingページに載っている内容をそのまま表にする。ドルはドルのまま書く。
| プラン | 月額 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 人間のアシスタント(比較用) | $8,000 | 訓練に数か月、返信は数時間後、同時に1タスクのみ、勤務は9時〜5時、病欠時は対応なし |
| Plus | $49.99 | 標準利用枠、受信箱2つまで、iMessage/SMSでチャット、メール下書き、会議スケジューリング、会議メモ、会議準備&フォローアップ、100以上の連携 |
| Pro | $99.99 | Plusの利用量の3倍、受信箱3つまで、Computer use、使用するAIモデルを選択可能、ライブオンボーディング |
| Max | $199.99 | Plusの利用量の7倍、受信箱5つまで |
| Enterprise | 要問い合わせ | Maxの全機能、共有利用枠+ボーナスクレジット、専任サポート、HIPAA準拠・BAA締結、SSO/SCIM、監査ログ |
Plusには7日間の無料トライアルがあり、契約期間の縛りはなく解約はいつでも可能とFAQに書いてある。トライアル中はPlus相当の機能を全部使える。ちなみにトップページの表記だと「Pro」が「Save 17% with Annual $59.99/月」となっていて、Pricing専用ページの$99.99と数字が食い違っている。年払い割引後の月割りなのか単なる表記の更新漏れなのか、ソースからは判断がつかない。契約前に公式サイトの最新表示を確認したほうがいい。
海外での評判
最初に断っておくと、Hacker Newsで「Lindy」を検索して出てきたスレッドは、このAIアシスタントの話ではなかった。「Lindy効果(Lindy effect)」という、存在してきた期間が長いものほど今後も長く生き残る確率が高いという統計的な概念についての議論で、チェスの残り手数の話やバスを待つ時間の話、Nassim Talebの名前まで出てきて盛り上がっていたけれど、AIツールのLindyとは無関係だった。名前がかぶっているだけで、今回集めたソースの中に、このツールについての独立したユーザーの声はなかった。
評判らしきものとしては、公式サイトの「Wall of Love」というセクションにXの投稿がいくつか並んでいる。ただし自社サイトに載せている時点で当然ポジティブなものだけを選んでいるので、そこは割り引いて読む必要がある。
Andrew Wilkinson(@awilkinson)「Excited for this. TLDR: Openclaw without the security nightmare.」——セキュリティ面の不安が少ない点を評価するコメント。
Linus Ekenstam(@LinusEkenstam)「Lindy is ChatGPT w access to all your apps」——メールやカレンダーの管理、採用候補者へのアプローチ、会議の要約まで手が届くツールとして紹介している。
中には「1日4時間かかっていたメール対応が8分になって、週28時間浮いて生産性が400%上がった」というKalsoom(@AIwithGhotai)の投稿もあったけれど、さすがに数字が出来すぎていて額面通りには受け取りにくい。これも自社サイト掲載の声なので、参考程度にとどめておくのが妥当だと思う。海外の掲示板での独立したレビューが見当たらないというのは、それ自体が今のところの状況を表している気がする。
日本語対応と日本からの使い勝手
公式サイト、Pricingページ、FAQを見る限り、日本語対応についての記載は見当たらなかった。メールの下書きやチャットが日本語でどこまで自然に動くかは、公式情報からはわからない。
気になるのは、やり取りの起点がiMessage/SMS前提になっている点だ。FAQには「Androidでも標準SMSで使える」とあるので使えないわけではなさそうだが、そもそも日本で日常のやり取りにSMSを使う人はそう多くない。この設計が日本のユーザーの生活習慣にどこまで馴染むかは未知数。
登録して始めるまで
FAQと「HOW IT WORKS」に書かれている手順をまとめると、こうなる。
- サインアップして7日間の無料トライアルを開始
- 電話番号を接続すると、Lindyからテキストメッセージが届く
- Gmail/Outlookを連携。連携自体は60秒以内で終わり、その時点からメールの整理が始まる
- 使い続けるほどLindyが文体や優先順位の癖を学習し、下書きの精度が上がっていく
承認なしにLindyが勝手にメールやメッセージを送ることはない、とFAQで明言されている。あくまで下書きを作るところまでで、送信するかどうかはユーザー側でレビューして決める仕組み。データは第三者に売らない、モデルの学習にも使わないと書かれている。
まとめ:向いてる人・向いてない人
受信箱が常にパンク状態で、会議の前後にやることが多すぎて疲弊している人には向いていると思う。テキストでAIとやり取りすることに抵抗がなくて、英語ベースの製品でも困らない人なら、月49.99ドルから試す価値はありそう。
逆に、日本語での運用を前提にしたい人や、メール・カレンダーへのアクセスを外部のAIサービスに渡すこと自体に慎重な人には向かない。「データを売らない」「学習に使わない」とは書いてあるものの、それを裏付ける第三者のレビューが今回の調査では見つからなかったので、そこは自分で確かめるしかない部分だと思う。まぁ7日間の無料トライアルがあるので、気になる人はまず触ってみて肌に合うか判断するのが早い気はする。