AIエージェントに「このサイトを開いて情報を取ってきて」と頼むとき、地味に一番めんどくさいのがブラウザ操作の部分だったりします。Botだとバレて弾かれたり、CAPTCHAを出されたり、IPをブロックされたり。今回紹介するBrowser Useは、そのブラウザ操作をAIエージェント向けに丸ごと請け負っている会社で、公式サイトを見る限りステルスブラウザからエージェント本体、専用LLMまでセットで売っています。オープンソースのbrowser-useライブラリは公式サイトの表記によるとGitHubで10万4000以上のスターを集めているらしく、個人開発者の間でもそこそこ名前が通っているツールだと思います。日本語の紹介記事がまだ見当たらなかったので、公式サイトと料金ページ、あとHacker Newsの反応を読める範囲でまとめてみました。
Browser Useとは?何ができるのか
公式サイトのキャッチコピーは「The way AI uses the internet」。要は「AIがウェブを使うときの標準的なやり方を提供する」というポジションです。トップページの「Agents, stealth browsers, custom models. From $0.02/hr.」という一文の通り、単一のプロダクトではなく、ブラウザ自動化に関わるパーツを一通り揃えて売っている構成になっています。公式サイトに載っている商品ラインナップはこんな感じです。
- Browser Harness:無料・オープンソース。どんなエージェントでも使える自己修復型のブラウザ制御
- Stealth Browsers:$0.02/時間。Bot検知対策とCAPTCHA解決込みで、設定不要とのこと
- Web Agents:1ステップあたり$0.006〜。プロンプトを入れると、任意のサイトから構造化データを取り出してくれる
- Custom Models:1ドルあたり53タスク。ブラウザ操作専用に作られたLLM
- Browser Use Box:24時間365日稼働。Claude Codeとharnessが入った専用リモートボックス
- Proxies:$5/GB。195以上の国のレジデンシャルIPで、検知されにくいのが売り
公式サイトには「we raised $17M – so for small developers, this is all free: we only make real money from people at scale」とも書かれていて、小規模開発者向けにはbrowser-useライブラリ(オープンソース・$0)、Browser Harness(オープンソース・$0)、クラウドの無料枠(無料ブラウザ・同時3セッションまで・$0)、ステルスとCAPTCHA解決(無料枠に含む・$0)を用意して、大規模に使う企業から収益を得るモデルだと明言しています。$17Mも調達しているあたり、個人のOSSプロジェクトというより、しっかりビジネスとしてやっているツールですね。
料金プラン
料金ページ(Pricing)に載っているプラン比較はこの通りです。
| プラン | 月額 | 月間クレジット | 同時セッション数 |
|---|---|---|---|
| Free | $0 | 無料ブラウザ | 3 |
| Dev | $29/mo | $29 | 25 |
| Business | $299/mo | $299 | 200 |
| Scaleup | $999/mo | $999 | 500 |
| Enterprise | 要問い合わせ(Email us) | 年間クレジットプール | SLA・データ保持条件・専任サポートあり |
Freeプランは「Start now. Scale later.」という説明の通り、同時3セッション・月10エージェントタスクまで使えて、クレジットを追加すれば従量課金でそのまま使い続けられます。もっと同時実行数が欲しくなったらDev以上に申し込む、という設計のようです。Devプランは「advanced stealth」「top-ups, bring your own key, and more」が追加される、という説明になっています。
クレジットは以下の従量課金レートで消費される仕組みです。
| 項目 | レート |
|---|---|
| Browser Session | $0.02 / hour |
| Proxy Bandwidth | $5 / GB |
| Proxyless / 自前プロキシ利用時のegress | $0.20 / GB |
| V3 Agent | トークン課金(各プロバイダ料金の1.2倍) |
| V2 Agent(ステップ課金) | 1ステップあたり$0.006〜+タスク初期化$0.01/task |
| Custom LLM(BU 2.0) | 入力$0.60/100万トークン・キャッシュ入力$0.06/100万トークン・出力$3.50/100万トークン |
V3 Agentのモデル別料金はこうなっています。
| モデル | 入力(100万トークンあたり) | 出力(100万トークンあたり) |
|---|---|---|
| GPT-5.4 Mini | $0.90 | $5.40 |
| Claude Sonnet 4.6 | $3.60 | $18.00 |
| Claude Opus 4.6 / 4.7 | $6.00 | $30.00 |
自分のAnthropic・OpenAI・Googleのキーを持ち込むBring Your Own Key方式も選べて、その場合はプロバイダに直接支払う料金に加えて0.2倍のオーケストレーション手数料がかかる、という説明でした。Browser Use Boxの料金は稼働時間ベースの日額換算で、smallが$1/day(2vCPU・4GB・20GB)、mediumが$2/day(2vCPU・8GB・50GB)、largeが$4/day(4vCPU・16GB・100GB)です。料金ページの下の方には「Want a team workflow set up for you? See the managed BUX pilot.」ともあり、チーム向けの導入支援パイロットも別途あるようです。円換算の表記は公式サイトのどこにも見当たらなかったので、この記事でもドルのまま書いています。
海外での評判
今回、Hacker Newsの反応もソースとして渡されているんですが、正直に言うと使えるものがほとんどありませんでした。YC W25採択時のローンチスレッド「Launch HN: Browser Use (YC W25) – open-source web agents」は259ポイント・コメント100件、ステルスブラウザに近いテーマの「An advanced browser fingerprint calculator aimed mainly at Tor Browser users」も158ポイント・77件と、どちらもそれなりに盛り上がった形跡はあります。
ただ、渡されたソースにはこの2つのスレッドの具体的なコメント本文が入っておらず、実際に読めたコメント群は「browser user-agent string」の歴史を振り返る2008年の記事についてのスレッドのもので、Browser Useというツール自体への感想ではありませんでした。中身のないコメントを無理やり紹介するよりは、ここは正直に「今回は具体的な海外ユーザーの声までは拾いきれなかった」と書いておきます。ポイント数とコメント数だけ見ても、少なくともHacker News上での関心自体は低くない、というくらいは言えそうです。次回また情報が拾えたら追記したいと思います。
日本語対応と日本からの使い勝手
公式サイト・料金ページを見た範囲では、日本語の記載は見当たりません。UIやドキュメントの言語も英語のみのようです。料金表記もドル建てのみで、日本円換算の表示もありませんでした。英語のドキュメントを読むのが苦にならない人向けのツール、という前提で考えた方がよさそうです。
登録して始めるまで
公式サイト・料金ページには「Get Started」「Start free」というボタンがあり、Freeプランなら$0で登録して同時3セッション・月10エージェントタスクまで使い始められる、という導線になっています。それ以上の同時実行数が必要になったらDev以上のプランに申し込む形です。また、browser-useライブラリ自体はオープンソース($0)で公開されているので、クラウド版を使わずにセルフホストでライブラリだけ試すという選択肢もあります。登録後の具体的な画面遷移やダッシュボードの詳細まではソースに記載がなかったので、そこは省略します。
まとめ:向いてる人・向いてない人
ブラウザ操作を伴うAIエージェントを自分で組んでいて、CAPTCHAやBot検知に地味に消耗している人には向いていると思います。ステルスブラウザやレジデンシャルプロキシ、専用LLMまで一式揃っているのはこの手のツールとしては珍しい方向性で、Claude Codeを使っているならBrowser Use Boxとの組み合わせも試しやすそうです。一方で、ノーコードで簡単に使いたい人や、日本語で完結させたい人にはちょっと厳しいはずです。日本語対応の記載はなく、料金体系もBrowser Session・Proxy Bandwidth・V3 Agent・V2 Agent・Custom LLMと複数の課金軸が並んでいて、最初に見たときはどれがいくらかかるのか把握しづらいなとは感じました。まぁ無料枠だけでも軽く触ってみる分には$0で始められるので、エージェント開発をしている人はとりあえず登録だけしてみるのはアリだと思います。